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東京地方裁判所 平成6年(特わ)444号 判決 1994年6月06日

本店所在地

東京都豊島区西巣鴨三丁目一番一一号

株式会社

堀田建設

(右代表者代表取締役 堀田敏晴)

本籍

東京都豊島区巣鴨五丁目二二八番地

住居

同都同区巣鴨五丁目二三番一号

会社役員

堀田次市

大正一〇年一一月三〇日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官長島裕、弁護人谷川徹三、西山彬、泉弘之各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社堀田建設を罰金四〇〇〇万円に、被告人堀田次市を懲役一年四月に処する。

被告人堀田次市に対し、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社堀田建設(以下「被告会社」という)は、東京都豊島区西巣鴨三丁目一番一一号に本店を置き、土木建築業等を目的とする資本金二〇一〇万円の株式会社であり、被告人堀田次市(以下「被告人」という)は、被告会社の代表取締役(平成五年八月二一日辞任)として、同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空外注加工費等を計上するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  平成元年一〇月一日から平成二年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億一〇三四万四八六四円(別紙1の修正損益計算書及び修正製造原価計算書参照)であったにもかかわらず、平成二年一一月二九日、東京都豊島区西池袋三丁目三三番二二号所在の所轄豊島税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二九七三万九七八一円で、これに対する法人税額が三二〇万三七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三五四四万五七〇〇円と右申告税額との差額三二二四万二〇〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)を免れ

第二  平成二年一〇月一日から平成三年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億一四二八万七六五八円(別紙2の修正損益計算書及び修正製造原価計算書参照)であったにもかかわらず、平成三年一一月二八日、前記豊島税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四五六三万六七六六円で、これに対する法人税額が一四九万一四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額六四七三万五六〇〇円と右申告税額との差額六三二四万四二〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)を免れ

第三  平成三年一〇月一日から平成四年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億四〇六九万八八二七円(別紙3の修正損益計算書及び修正製造原価計算書参照)であったにもかかわらず、平成四年一一月三〇日、前記豊島税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五三七七万一六三二円で、これに対する法人税額が六〇九万四四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額七六一九万二〇〇〇円と右申告税額との差額七〇〇九万七六〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書六通

一  神山文隆(三通)及び竹原紀雄の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の材料仕入高(製造原価)調査書、労務賃(製造原価)調査書、外注加工費(製造原価)調査書、交通費(製造原価)調査書、雑費(製造原価)調査書、事務員給与調査書、支払利息割引料調査書、損金不算入役員賞与調査書、事業税認定損調査書及び領置てん末書

一  検察事務官作成の雑損失に関する捜査報告書

一  登記官作成の登記簿謄本

判示第二及び第三の事実について

一  大蔵事務官作成の運賃(製造原価)調査書

一  検察事務官作成の交通費(製造原価)に関する捜査報告書

判示第一の事実について

一  押収してある法人税確定申告書等一袋(平成六年押第六四四号の1)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の厚生費(製造原価)調査書、雑損失調査書及び寄付金の損金不算入額調査書

一  検察事務官作成の材料仕入高(製造原価)に関する捜査報告書

一  押収してある法人税確定申告書等一袋(前同押号の2)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の水道料(製造原価)調査書、受取利息割引料調査書及び損金の額に算入した道府県民税利子割調査書

一  検察事務官作成の外注加工費(製造原価)に関する捜査報告書

一  押収してある法人税確定申告書等一袋(前同押号の3)

(法令の適用)

一  罰条

1  被告会社

判示第一ないし第三の各事実につき、法人税法一六四条一項、一五九条一項(第一の事実の罰金刑の寡額については、刑法六条、一〇条により、平成三年法律第三一号による改正前の罰金等臨時措置法二条一項による)、二項(情状による)

2  被告人

判示第一ないし第三の各所為につき、法人税法一五九条一項(第一の事実の罰金刑の寡額につき、前同)

二  刑種の選択

被告人につき、懲役刑

三  併合罪の処理

1  被告会社

刑法四五条前段、四八条二項

2  被告人

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い第三の罪の刑に法定の加重)

四  刑の執行猶予

被告人につき、刑法二五条一項

(量刑の理由)

本件は、土木建築等を業とする被告会社の社長であった被告人が、架空の外注加工費等を計上するなどして、三事業年度にわたり、合計一億六五五八万円余の法人税を脱税したという事案であり、ほ脱率も通算約九三・九パーセントに達している。このような脱税額、ほ脱率、犯行態様等のほか、この種事案については一般予防の必要性が高いことにかんがみると、被告人及び被告会社の刑事責任には軽視を許されないものがあるといわざるをえない。

他方、被告人は、国税当局の査察を受けて以来、事実を認めて調査及び捜査に協力し、かつ本件の責任をとって被告会社から身を引き、当公判廷においても真摯な反省の態度を示していること、被告会社は、国税当局の指導に従い、本件三事業年度分の法人税を附帯税を含め完納していること、被告人には古い罰金前科があるが、それ以外に前科前歴はないこと、被告人の健康状態が思わしくないことなど、被告人及び被告会社のために有利に斟酌すべき事情も認められる。

当裁判所は、以上のほか一切の情状を考慮して、主文のとおり量刑した次第である。

よって、主文のとおり判決する。

(求刑 被告会社・罰金五〇〇〇万円、被告人・懲役一年六月)

(裁判官 安廣文夫)

別紙1

修正損益計算書

<省略>

修正製造原価計算書

<省略>

別紙2

修正損益計算書

<省略>

修正製造原価計算書

<省略>

別紙3

修正損益計算書

<省略>

修正製造原価計算書

<省略>

別紙4

ほ脱税額計算書

<省略>

ほ脱税額計算書

<省略>

ほ脱税額計算書

<省略>

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